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サイト開設から2年。ついに日記ページをブログに移行。誰得?な妄想などを書き連ねます。腐女子要素が多分に含まれておりますので、苦手な方はお戻りください。 このブログは一部、公式の情報を元にはしていますが、ほぼ管理人の妄想です。 版権元の企業・会社には一切関係ございません。 ブログ記事の無断転載などはお控え下さい。
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前回の記事の続きです。

優に彼氏ができる。礎に恋愛感情もどきを抱いていたのは既に完結している。



ある日。
仕事中の出来事が原因で元気のない礎。優にはいつものようにふるまうが、翔に気づかれる。

「無理してんのがバレバレなんだよ」
「そんなにひどいかな」
「今にも死にそうなツラしてるぜ。いっそ俺が殺してやろうか?」
「やめてくれ。悲しすぎる」

なんだかんだで翔に慰められる。少し元気になった礎。
やさしげなまなざしで翔を見つめる。

「君が好きだよ」
「なんで俺様に言う?言うなら優に直接言いやがれ」
「優ちゃんにはちゃんとした彼氏がいるじゃないか」
「義理のオニイサマが二股推奨たぁ、刑事の肩書きが泣くな」
「俺が言ったのは“君に”なんだけど」
「……なんだって?」
「君に言ったんだよ、翔さま?俺は君が好きだ」
「ハッ!ふざけるな。優のみてくれに惑わされるなよ。体は女子高生だが、俺自身は男だぜ?とち狂ったことぬかしてんじゃねぇよ」
「狂っているというならそれでもいいよ。ただ俺は、ほかの誰も知らない“翔”という人を好きになったんだ。それはわかってくれる?」
「……本気なのか?」
「君たちが二重人格だということ、君がまだ高校生で俺は刑事だということ。そんな厄介な条件がそろっていなければもっといろんな表現の仕方ができるんだけど、残念ながら言葉にするのが精一杯だ」

礎の真摯な言葉に翔は戸惑う。これ以上告白を続けても翔を困惑させるだけだと判断して礎は就寝を告げる。
翔は初めて告げられた恋愛感情に戸惑い、自分が礎に対して嫌悪どころか好意を持っていることに気が付く。

しかし所詮自分は優の別人格。優に彼氏がいること、礎の刑事という立場、今まで気にはしていなかったが自分は呪われた人格だという自覚。様々な要因が重なり、翔は自分の気持ちに蓋をすることに。

別の日。
残業で深夜帰宅した礎を待っていたのは翔。
居間でくつろぐ礎に近づき、ネクタイを取る。

「翔?」
「じっとしてな」

礎のネクタイで目隠しをし、起き上がろうとするのを片手で制する。
礎の困惑する気配に翔は告げる。

「これでお前は俺様のみてくれに左右されずに済む。この状態でもまだ、お前は俺のことを好きだと言うのか」
「あぁ。好きだよ。俺はちゃんと言った筈だ。君という人格を好きになったんだと」

翔は一瞬辛そうに表情をゆがめる。これまで肯定的に自分を受け入れた人間は優だけだった。それもつい最近のことで、誰も自分を好きだと言う酔狂な人間はいなかった。
翔はソファーのふちに両手をついて身をかがめる。

「――だったら、自分の肩書もなにもかも忘れてじっくり味わいな」

低い声で翔が告げた後取った行動は、礎がその言葉の意味を理解する前に彼の唇を深く己の唇でふさぐことだった。

「!?」
「…………」

驚愕に身じろぎする礎。しかし翔は動じず、ただ舌を絡めようとする。
やがて礎も翔の意図を察し、体を抱き寄せようとするが翔はただ手でのみ拒絶する。
『キスだけに専念しろ』と言うような拒絶に礎はおとなしく従う。

翔の息が上がり、礎の欲求も限界に達してきたころ、翔から身体を離した。



(作者メモ:キスだけでもいいけど、ここまできたらフ.ェ.ラまでしてもいいかな)



「翔……」

未だ目隠しをされたままの礎の呼びかけに上がった息を整え、翔は殊更低い声を出した。

「いい思い出になっただろ。――だから、もう正気に戻れ。二度と俺なんかにうつつを抜かすな」
「翔……!?」

慌てて目隠しを取った礎の前には既に翔の姿も、もちろん優の姿もなく、礎はしばらく呆然とした後、ソファーに深くうなだれる。

「ふられた、のかな……いや、傷つけた、のか」

二重人格であること、呪われた人格と言われ続けてきたこと。それがどれほどの心の闇となるのか、自分は浅はかだったのかもしれない。
翔の言うように“優”の外見に惑わされていたなどとは思っていない。しかし彼には自分が純粋に愛されたなどと信じられなかったのだろう。

礎は深く溜息をつき、両手で顔を覆った。
どうすれば安心して自分を好いてくれるのかわからない。そして自分もどう愛せばいいのかわからない。
数日前に仕事で落ち込んだ時よりも深い憂鬱が礎を落ち込ませた。

「好きなんだ、本当に……」

解決策が見いだせないまま夜だけが更けていった。



 ◇◆◇



結局、翔は何事もなかったように礎に接し、礎も翔を傷つけまいとこれまで通りに振る舞った。

偶然、商店街の福引きでパワースポット旅行券が当たる。
礎の休暇を利用して行くことに。
しかし翔は観光マップを見て何かに気づく。だがそのことに優と礎を悟らせず、いつも通りでいる。

観光先で霊能者と出会う。そこで翔の存在に気づかれ、祓ってやると言われる。
返答に窮する優。そこへ無理やり翔が現れる。

「やれるならやってみろよばーさん。俺様はそう簡単にこいつから離れてやらねぇぞ」
「上等だ。おぬしなんぞ一瞬で祓ってみせるわ」

すぐにでもお祓いを始めようとする霊能者にストップをかける礎。

「少し、少し時間をください!」
「準備がいる。10分ほどで済むからしばしここで待たれよ」

一度立ち去る霊能者。
礎は翔の肩を掴み、振り向かせる。

「いったい何を考えてるんだ!?あんなこと言って、君が消えたら俺は悲しいし、優ちゃんだって君を慕っているのに……!!」
「心配するな。ただあの霊能者もどきが気に食わないから鼻っ柱折ってやろうってだけだよ。俺様があんなインチキに除霊されるわけねぇだろ」
「そ、そうか……。い、いんちきか。なんだ、君が自棄を起こしたのかと思って焦ったよ」
「ハッ!ばーか。俺様を誰だと思ってるんだ?」

翔はいつも通り自信に満ちた笑みを浮かべ、礎の肩を小突いた。


「そんなに不安ならお守りでも持ってたらどうだ?」

翔は勝手に優の財布を出すと、近くの店で売っていたパワーストーンのブレスレットを礎に渡す。

「……」
「なんだ、俺様からのプレゼントが不服か?」
「君は本当に……いや、ありがたくいただくよ」
「優のは色違いな。おこちゃまにはお似合いだろ」

やがて霊能者が戻ってきてお堂へ案内される。

礎は入口で待たされ、お祓いが始まる。

「じゃーな。おとなしく待ってろよ」

お祓い開始。

終了。

完璧だと自信満々の霊能者。不安がよぎる礎。
静かに目を閉じていた優が目を覚ます。
本当に翔は消えてしまったのか。
礎が見守るなか、優は不敵な笑みを浮かべる。

「ま、まさか、そんな……」
「――残念だったな、ばーさん。俺様はそんじょそこらの雑魚とはレベルが違うんだよ。失敗したんだから、金はいらねぇよな?あははははっっ!!」
「失敗、など……」

愕然とする霊能者の横をすり抜け、高笑いをしながら戻ってくる翔。
お堂から離れ、しばらくしてもまだ笑い続けている彼を礎はやれやれといった様子で話しかける。

「いくらうまくいったからって笑いすぎじゃないかい?なんだかあのおばあさんが気の毒になってくるよ」
「あはははっ!はは、は……っ」

笑い声が途絶え、小さな嗚咽が漏れる。歩いていた足が止まり、礎は振り返る。
立ち止まった翔――否、優がぼろぼろと大粒の涙をこぼして泣いていた。

「優……ちゃん……?」
「っぁ……あぁ……うわぁぁぁ……っ!!」

駆け寄った礎にすがりつきながら泣く優。
礎はまさか、まさかと思いながら尋ねる。

「翔……くん、は?」
「いない……いなくなっちゃった……お祓い、本当だった……!!翔は気づいていたの!!あの霊能者さんが本物だって!!でも、お金を払わなくていいように、私には自分の振りをさせて失敗させたように見せかけろって!いつも、いつもそうよ。翔はなんだかんだ言って私を守ってくれるの」

優はわかっていた。翔が、自分がいることで優が彼氏と付き合うことに不安を抱いていることに。いつまでも翔の存在を隠したまま恋人関係を続けられない。悩みを抱えていたことに。

翔が消えたのはそれだけが理由ではない。
ただでさえ、血縁でもない優を引き取ってよくない噂が立っていた礎が、別人格である自分にうつつを抜かして、せっかくのキャリアを棒に振ってほしくなかった。

「そんな……。こんなあっさりいなくなってしまうのか、君は……。せめて別れくらい告げさせてくれてもいいじゃないか!」
「勝手、だよね。翔はいつも……っ」

泣きじゃくる優を抱きしめながら、礎もまた涙をこらえる。

唐突に訪れた翔との別れは二人を深い悲しみへといざなったが、やがて彼からの贈り物――ガーネットのブレスレットとローズクォーツのペンダントが二人の心の支えとなる。

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